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ゲヘヘのchika郎、笑かしなやもう 2

チカオアーカイブ 過去にご馳走様して来た映画・ドラマ・本への感謝の念を込めて

夏至 映画レビュー50選(9)

原題:a la verticale de l'ete
監督:トラン・アン・ユン
 chikaが一番行きたい「海外」がベトナム。中でも古都ハノイ。
 勿論文学ミーハーなchikaは田口ランディあたりの旅行紀行文に毒されているし、身近な女の子達の「ベトナムいいよ~。」の言葉にも煽られての話なんだけど。
 そんなchikaが先日、元ちはるのCDを買いに行ったついでに目に留めたのがこの作品、タイ映画の「69」を見ているので、内容には期待せず、観光映画代わりになればいいやって感じでレンタルしたんだけれど、、。
 トラン・アン・ユン監督って注目株の人だったんですね。    chikaって無学です、、。
 映像の綺麗なこと、綺麗なこと。
 ため息がでますよ。chika絶対保証します。
 それに静謐さの中に立ちこめるむせ返るような官能の匂い。凄くいい、、。
 クレジットを調べていくと撮影が『花様年華』のリー・ピンビン。
 『花様年華』が室内や夜の町を美しさを中心にしてたから、この作品の「真夏の陽光と水とグリーン」に結びつかなかったんだけれど、、今となっては深く納得。
 彼を“アジア人の肌を美しく撮ることが出来る”人という理由で起用したとのことだけれど、これも激しく同意いたします、、。
 「肌」も勿論だけれどここに登場する三姉妹の黒髪の美しい事と言ったら夢のよう、、「茶髪」なんて、こんな美しさのエントリー権放棄してホント、私たちって馬鹿だと思う。
 それとも、かなわないから放棄したのかなぁ、、。確かに彼女たちって(鴉の濡れ羽色)をしてるのに、ちっとも「重い」感じがしない。取り立てて小顔って訳でもないのにね。結局女性としての「たたずまい」の問題なんだよね。   「たたずまい」という言葉の中で思い出したんだけど、この映画の主なエピソードは単純に言って夫婦間にある「不倫」なんですよね。
 でもそれが話の展開として、悲劇的な大破滅に向かって行くわけでも、感動的な再生の結末を迎えるわけでもないんです。
 ベトナムでは夫婦は決して子供の前で喧嘩しないという教育がされていて(かっての日本だってそうだった筈)夫婦の醜い争いを見せないようにする「気使い」が残っているとの事。
 それは単純に言えば「物事を荒立てない」という事なんだけれど、今の私たちって、そういった事を軽視しすぎているなってこの映画を見て強く思った。
 他人同士の関係だったら事なかれ主義だし、総てに「まぁまぁ」って感じなのに、「夫婦、家族」になると何故か「我慢」しないんだよね。
 そんなに荒立てて抉り込むようにして相手を暴いた所でなんにも残らないのに、そうするのが現代的って感じのノリだもんね。
 結婚を一種の契約とする西洋的な考え方が強くなってきているのかな。
 「夫を立てて献身的な愛」なんて言おうものなら張り倒されそう。
 まあ、この作品で描かれているのはそれとは少し違う男と女の「愛」なんだけれどね。
 物語の立ち上がりは、三姉妹の母親の命日の酒宴で明かされた母の秘めた初恋の話から始まります。
 愛し愛されて続けていた貞節な理想の夫婦像を両親に見ていた三姉妹は、母が父以外の男性に抱いていたという恋心に戸惑いを覚えていくんですが、それはやがて彼女たちの実生活と重なりはじめ、、。
 そんな感じの話なんです。
 でもこの物語は大した修羅場も起こらず、この母親から一ヶ月遅れで死んだ父親の命日の準備に出かける末娘の姿でその幕を閉じます。
 映画のテーマとしての答えは、この映画のはじめ辺りで、三姉妹が母親の初恋の事を詮索するのはよそうと決めた時に既に出されているようです。
 でも映画は、そんな結論に反して長女の不倫(壁に残った女の素足の足形の描写は凄くエロチック、W字に大股開いてパンパングジュグジュっていう撮影しなくて、充分なんだよね。凄い。)や、なにやら暗示的な三女の実兄との疑似恋愛を、どんどん描写していくわけ。
 すごく大乗仏教的というのか、、う~ん、、良いわトラン・アン・ユン。

PS これは一部の隙もない凄い映画かなって思ってるんだけど、一カ所だけズッコケル部分があるのよね。
 それは三女がコイビトとのセックスの二週間目に「妊娠しちゃった。
 私未婚の母になる自信あるわよ。」と、上の姉たちに打ち明ける場面。
 上の二組の夫婦の危機をかなりドロドロと描き込んで来たあとだけに、こんな三女のネンネ振りが絡むシーンが許されていいのかって感じ。
 でもこのシーンのお陰でこの映画は振り出しのほのぼのとしたトーンに戻れるわけで、余計なシーンでもないのよね。
 うーん、、ベトナム女性の性意識ってこんななのかなぁ、、。
 確かに三姉妹が料理に使う鳥の肌の表面を整えているシーン(凄く綺麗なカットだよ、それに官能的)での会話だとかを聞いていると、一端貞操を開いた男性に対するセックスはかなり深いけれど、そこに行き着くまでは、まだまだ強い道徳観(?)が働いているみたいに思えるし、、。












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