忍者ブログ

ゲヘヘのchika郎、笑かしなやもう 2

チカオアーカイブ 過去にご馳走様して来た映画・ドラマ・本への感謝の念を込めて

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

見なくても死ねる(2) 「FULL METAL 極道」

監督:三池崇史

 このレビューのカテゴリーは「見なくても死ねるよ」。
 そうミステリー愛好家内藤さんの名台詞、「読まずに死ねるか!」を、映画版にもじって超B級映画を紹介するもの。
 ただし、今日ご紹介する映画は一概にB級とは言えません。と言っても決して佳作でもないんだけど(笑)。
 まあその区分けが難しいのが三池崇史監督作品の特質なんです。
 後、付け加えておきたいのは、このレビューに限らず、それぞれの感想が書かれた時期が異なります。
 昔書いたのもあれば、最近書いたのも。これはかなり昔ですね。
 このレビューの最後に登場する北村一輝さんは、今は押しも押されぬ個性派中堅俳優さんです。

ってことでここからが本文。


  あの格言おじさん(シーザー武志)が、渋い兄貴を!!三池監督ってどこか世の中を面白がって見ている視線があるのよね。
 それでもって拗ねているわけでもない、大人になったやんちゃ坊主ぽい所が大好き。
「フルメタル極道」の描くやくざの世界、のっけからなんてお馬鹿なんだろう。
 これぐらいの(馬鹿さ加減)で飛ばしている時の三池作品は、安心して見ていられるし、とにかく楽しめる。chika、三池作品のデッドラインは「ここなんだ」って、この作品を見て発見したよ。
 主人公であるへたれやくざのうじきつよしが、後半サイボーグ化して組織になぐり込みをかけるんだけど、この監督の事だから必ず遊びを入れるのね。
 たとえばメタル装甲が完全じゃないから拳銃に対する防御姿勢が「アラ、イヤーン」ポーズになるわけ。
 それを見て、今まで変身した先輩の戦いぶりに感動してた後輩が「はぁ?」って表情をつくるのね。
 このシーンで判るように、この時点では三池監督、映画の中で観客に自分の悪ふざけを「説明」しようという意志がまだあるわけなのね。
 でも最近の三池監督はもうこの説明をしなくなってる。
 だから見てる人間がコレにはまる時には、余計な説明がない分だけ、すごく映像的にドライブするんだけど、「勝手にしてよ、もうわかんない。一人で遊んでなさい。」状態になると、映画自体がとんでもない印象になっちゃうのね。
 「フルメタル極道」は、ちょうどこの「悪ふざけ」の塩梅が多いか少ないかの分岐点になる作品なんじゃないかな。
 まあ三池監督の悪ふざけ論については、これだけにしておいて後は「フルメタル極道」の見所をランダムにご紹介。
 もしもグラムな矢沢栄吉がいたとしたらこんなファッションするんじゃないかというマッドサイエンティスト平賀玄白(田口トモロヲ)が素敵。
 この平賀が、うじきに与えたサイボーグ体のチープな造形がこれまた、気持ちいい。
 その他、うじきの正統派極道・土左さんのちんちんへの憧れ、あるいは憧れの彫り物、変じてメタル装甲への彫金。
 (田口トモロヲが諸肌脱いだうじきの背中に馬乗りになって電気ドリルで入れ墨ならぬ彫金をするシーン、本来コミカルな場面の筈なんだけれど妙にエロチック)
 うじきが復讐を果たして長ドスではねたボスの生首が、サッカーボールよろしくドキューンと盛り場のネオン瞬く夜空を飛んでいくシーンは下手な劇画作家だって描かないって。このチープさ加減がホントに大好き!!
 映画後半は、土左さん一家の墓がある海岸で、うじきの修行僧のごときルンペン暮らしが延々と、、。
 一体この展開はなんなんだよ~。と思っていると、土左さんの女(中原翔子)がやってきてうじきの純情話に展開。
 でこの女が土左のかたきを討とうと、ゴルフのキャディさんに化けて敵に突っ込んでいくんだけど、あえなく捕まえられるわけ。(この女優さん、ほんとに色っぽい。)
 そんでもってSM調教されちゃうのね。ボンデージ衣装を着せられボールギャグをかまされ、、うーむ、、すっごくいいのね、このシーンが。
 なんてのかなぁ、、本物のやくざが、アダルトショップで買ってきた小道具で、拉致してきた女をいたぶっているっていう感じのリアル感がすごくあるのよね。
(三池監督の作品には、こんなシーンがおまけみたいに必ず一つはあるよ。どれも凄く感じる。たぶん女優さんの起用が巧いのと、男色への理解の深さが、女性への加虐のリアルさを生むんだろうなぁ。)
 この土左の女、最後に自分で舌を噛みきって自害しちゃうんだけど、これ又、三池監督は真正面からこのシーンを撮ろうとするのね。
 絶対、トリックというか不自然さが映像的には出るんだけど、この監督がこんなシーンを撮ると何故か成立しちゃう訳。
 力業というのかエネルギーというのか、、(chikaがこの監督に惚れるのはこの部分なんだけど)凄い。
 そして衝撃のラスト。(人によっては意味不明とも、、、。chikaは、「こんな感じにして終わっときゃまあいいか。」くらいのエンドシーンだと思うけど。)

PS この映画、うじきが実に「いい人」で、無茶苦茶はまり役でいう事なし、でも個人的に注目なのは、胴体上下まっぷたつにされながらも最後まで極道してた北村一輝。
 日本黒社会でも主役はってたけど、こっちの方がいいかも、黒社会の主人公を演じるのは、若い人にとっては素に近いぶん、誰がやっても難しいんじゃないかな。
 この「フルメタル極道」では典型的な「若き極道」っていう空想的なモデルが先にあるから、彼はそれをターゲットに好きにやってたみたい。
 でその分、彼の魅力が十分に味わえたように思う。
 たとえば「本当は優しいっていう顔をしながら、結局自分の事しか考えていない冷血漢」なんてのは、なかなか今若い人には演じられないのよね。北村一輝、chika注目の人です。



PR

ピンクナイロン

コガネモチ

RSS

アーカイブ

P R

カウンター