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ゲヘヘのchika郎、笑かしなやもう 2

チカオアーカイブ 過去にご馳走様して来た映画・ドラマ・本への感謝の念を込めて

ドーベルマン 映画レビュー50選(16)

 フランス既存映画への“挑戦状”ヤン・クーネン監督の「ドーベルマン」。
 公開当時は国内でも結構騒がれていた記憶がある。
 勿論「ドーベルマン」観ました。
 ドラッグ・クイーンのソニアが、狂気警視クリスチーニに家庭まで踏み込まれて精神的にズタズタにされるシーンにシンクロしてしまって妙な胸苦しさを覚えたり、、。
 でもバイオレンスやアクションシーンなら日本のVシネマ辺りでもそこそこやるし、斬新なカメラワークも1時間以上連続で駆使できる訳もないし。
 と、まあchikaの当時の評価は△○だったんですね。
 それでも心の中には何かが引っかかっている。数年すれば観たことも忘れてしまうような映画が多い中で「引っ掛かって」いるのは、この映画に「何か」があるからなんですね。
 リーダーのドーベルマンことヤン・ルパントレックは生まれながらの強盗。「生まれながらの強盗」っていうのは比喩じゃなくて文字通りの意味。
 そして彼の仲間は、薬に溺れ常に殺人の衝動に駆られているムス、斧を振り回す犬好きの巨漢ピットブル、聖書の中に手榴弾を携帯する神父(アッベ)、同性愛者で女装好きのドラッグクイーン・ソニア、廃車回収業者でありマシンガンの使い手レオ、ヤンの恋人で爆弾の扱いに長けた聾唖の美女ナット、狙撃の名手にしてナットの兄であるマニュがいる。
 これが一種のコミニュティを形成してるわけなんですね。
 まあ普通の視点で映画を撮ればそれこそ殲滅すべき兇悪集団って所なんだけど、ここに彼らの狂気を数段上回る純粋狂気たるクリスチーニ(しかも国家権力を背景にしてる)を配置する事で、違う要素を映画の中に作り上げているわけです。
 で、後日、ビデオレンタルで見つけたのがこの「ドーベルマン・エクスプレス」。
 このエクスプレス、ただのメイキングビデオかと思ったら、ヤン・クーネン監督の小中編映画が収録されているのですね。
 「ブルーム・レース」「ヴィブロボーイ」「キャプテンX」「赤ずきん」これだけ観ると、ヤン・クーネン監督の輪郭が何となく見えて来る。
 ヤン・クーネンの表現は日本のヤング・アダルトコミックの輪郭と同じだと思いこんでいたけれど、少し違うみたい。
 特に「赤ずきん」を観ていると(私のお気に入りです。)その感が強くなる。
 この監督の切ないまでの「暴力」への思い入れは一体何なんだろうと思う。
もし、レンタル店の棚にこれがあったら、騙されたと思って観ても損はないと思いますよ。


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